邪の時の咳とは違って、熱もないし、痰は絡まない「乾いた咳」が続く事があります。一体何が原因でこんな咳が続くのか心配ですね。
私も咳で肋骨にひびが入った事があるくらい長く咳が続いたのですが、その時も心配で病院に行きましたし、子供が小さい頃咳がひどくて夜が眠れない時にも心配で悩みました。
熱が無いので原因がわからず更に悩んだものです。そんな「乾いた咳」が続く時に、考えられる病気について調べてみました……
乾いた咳が続くときの原因 ~どんな病気が考えられるの?~
まず、乾いた咳が続く症状について書いてみます。
- 痰が絡まないか少ない
- コンコン、ケンケンという乾いた音がする
- 2週間以上咳が止まらない
- 激しい咳である事が多い
わかりやすくするために、上記の症状がある場合に考えられる病名を「熱がない場合」と「熱がある場合」で分けてみました。
だけど、同じ病気でもはじめは熱が出なくても長引くと熱が出る事もあり、一概には分けられません。おおまかな区別として参考にしてくださいね。
熱がない場合に考えられる病気
アレルギー性咳嗽(がいそう)
アレルギーによって咳が出ます。
気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれかの病歴がある人に多いです。
咳喘息、アトピー性咳嗽など
咳喘息(せきぜんそく)
特 徴
夜間から明け方にひどくなる。
ヒューヒュー、ぜいぜいという喘鳴や呼吸困難は無い
発熱は無いか、微熱
喘息に移行する危険性あるので注意が必要です。
原 因
急激な温度差・ほこりやダニなどのハウスダスト・ストレスなど。
アレルギーにより気管支が狭くなる事でおきるので、気管支拡張剤を処方されます。咳喘息はほおっておくと喘息に移行する危険性あるので早めに受診しましょう。
アトピー性咳嗽(がいそう)
特 徴
症状としては咳喘息と似ているのですが、こちらは気管支拡張剤が効かないので、気管支拡張剤を飲んでも治らない場合はこの病気が疑われます。
原 因
アトピー素因(血液中の好酸球が多い、IgE値が高い、アトピー性皮膚炎などアレルギーの病気がある)
によって起こる咳です。
血液検査によってアトピーである事が分かったら、ヒスタミンH1拮抗薬もしくはステロイド薬を処方されます。
咳喘息と、アトピー性咳嗽は診断がつきにくい事が多く、気管支拡張薬が効くか効かないかが、診断の決め手になることもあります。
百日咳(ひゃくにちぜき)
子供のときに打つ三種混合(百日咳・ジフテリア・破傷風)ワクチンに入っているので、患者数は減っていたのですが、最近は学童期以降、成人にも見られる事があります。
咳以外の症状が無く、原因が思い当たらない場合疑ってみる必要もあるかもしれません。
逆流性食道炎による咳
特 徴
喘息のような症状が出る事があり、喘息の治療をしても治らなくて内視鏡の検査をして重度の逆流性胃腸炎だとわかり、その治療をしたら咳もおさまったというケースもあるようです。
原 因
胃液の逆流により、食道の上部や咽頭に炎症が起きる事から咳が出ます。
喉頭は、ふだん胃液に触れる事は無いので、胃酸に対する防御力を持っておらず、喉頭の粘膜が、すぐに炎症を起こしてしまいます。そこで慢性的に咳が出たりします
心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)
特 徴
痰がからまないと、寝ている間には咳が出ないという事です。
特に考えられる原因が無いのに、咳が続く場合心因性の咳であることが疑われます。
原 因
心理的ストレス
不安、緊張、怒り、悲しみ、抑うつなどにより自律神経に影響が出て、その神経作用によって気道が刺激されて咳が起きると考えられています。抗不安剤や安定剤などが処方されます。
ストレスにより気管支喘息が出る事もあり、その場合は気管支拡張剤が処方されます。
しかし一番の対策はストレスを取り除く事です。お散歩をする、ゆっくりお風呂に入る、マッサージに行くなど自分にあったストレス解消法を見つけましょう。
肺がん
一ヶ月以上空咳が続く場合で、さらに全身の倦怠感、血痰、食欲低下、体重減少などの症状がある場合、肺がんの恐れがあるかもしれません。
熱がある場合に考えられる病気
気管支結核(きかんしけっかく)
特 徴
主症状は2週間以上続く頑固な咳です。他にも血痰(けったん)や発熱、疲労感などがあります。
原 因
結核菌が原因です。
一般的に結核と言えば肺結核を言います。肺結核の場合は咳が主症状になる事は少ないのですが、 気管支結核の場合は気管支に影響が出るので咳がでます。
肺炎(はいえん)
特 徴
肺炎は肺がダメージを受け、酸素と二酸化酸素を交換するという大事な機能が低下するので、咳、痰、熱のほかに、息切れ、チアノーゼ(口や顔が紫色)などを起こすのが特徴です。 早めに病院を原因に受診しましょう。
原 因
マイコプラズマ、インフルエンザ、肺炎球菌、などいろんな原因から肺炎を起こします。
はじめは、痰が絡まなくても長引くうちに痰が絡みだし発熱する事が多いです。肺炎の場合は高熱が出る事が多いですが、まったく熱が出ない、もしくは微熱である事もあります。
急性咽頭炎(きゅうせいいんとうえん)
特 徴
症状として、強いのどの痛み(飲み込むのがつらい。ひりひりする。など)発熱、咳があります。
原 因
風邪ウイルス(アデノウイルス、インフルエンザウイルスなど)により咽頭に炎症が起きます。
ウイルス感染で弱ったのどに細菌感染が生じてひどくなる事もあります。近年はPM2.5や黄砂が悪影響をおよぼして咳が長引く事があります。
以上、「熱がない場合」と「熱がある場合」の乾いた咳と考えられる原因(病気)について説明しました。
はじめは「熱がなかった」病気でも、長引くと「熱が出る事」もあります。判断に迷ったときにはお医者さんを診察するのが一番安心でしょう。
ここまで「大人の咳」について書いてみました。
では、あなたの大切な「子ども」や「赤ちゃん」が、乾いた咳をはじめたらどうでしょうか?
その症状について次章で解説します。
子ども、幼児、赤ちゃんの乾いた咳が続くときは?
子ども、幼児、赤ちゃんの咳の場合、どんな病気があるのか、気をつけなくてはいけない点があるのかなどを調べてみました。
肺炎
子供の肺炎は年齢により原因が違います。大きくなるにつれ、獲得していく免疫機能の差によってこのような結果になったり、活動範囲の違いで感染するウイルス、菌が変わるからだと思います。
新生児期、乳児 | B群連鎖球菌、大腸菌等の腸内細菌 |
幼児 (1歳~2歳) |
多くのウイルス、肺炎球菌・インフルエンザ菌といった細菌 |
幼児 (2歳~6歳) |
肺炎球菌・インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ・肺炎クラミジア |
学童期以降 | 肺炎マイコプラズマ・肺炎クラミジア |
クループ症候群(子供に特有な症状です)
特 徴
とても特徴的なケンケンいう乾いた咳、犬の遠吠えやオットセイの鳴き声のような咳で、すぐにわかります。
3か月~5歳のお子さんに多いです。生後2年以内のお子さんが最も多くなります。時期としては冬期の発生が多くなります。成長とともに気道が発育するので発症数は減っていきます。
原 因
インフルエンザウイルス、溶連菌など。
原因に対応したお薬を服用して治療します。同じ原因でも大人になると気道が発達するので、このような咳にはなりません。
百日咳
乳児に多い病気の為、三種混合ワクチンに含まれています。
咳のほかにはあまり症状が無い事がく、最近は学童期以降や成人にもある事がわかってきました。
治療には抗菌薬を投与します。
小さい子供は体力も無く、長引く咳によって更に体力がうばわれ病気が悪化する事があるので、早めに病院を受診してください。
また、熱があるときなど、水分をこまめにとらせて脱水症状などにも気をつけましょう。
寝ているとき咳が激しい時、上半身を起こしてあげると気管や肺を圧迫しないので楽になる事が多いです。また、痰も出やすくなります。
以上、少しでも参考になれば幸いです。
さて、
あなた、子供さん、赤ちゃんが乾いた咳で悩んだとき、「病院の受診」が大切なのはご説明したとおりです。
では、病院の何科を受診すればよいのでしょうか?
そのことについて調べてみました。
病院を受診するときは何科がいいの?
まず、咳が長引いている時は、体力も落ちているので、余病にかからないようにも早めに受診したほうが良いです。
病気や症状により、受診する科が変わってきますが、自分では判断できないので、まずは内科を受診して、お医者様の判断で必要があればその他の科を案内していただくのが良いと思います。
参考までにおおまかな分類を書いて見ますと、
咳喘息、喘息、アトピー性咳嗽、肺炎 | 内科、アレルギー科、呼吸器内科 |
結核 | 内科、呼吸器内科 |
心因性咳嗽 | 内科、心療内科 |
逆流性食道炎による咳 | 消化器科、胃腸科 |
となるようです。
コラム)乾いた咳以外に「湿った咳、吐き気」があるとき
長引く咳というのは、その他にもいろいろな症状や変化がある場合が多いです。
- 熱や痰が出始めた(湿った咳が出た)ときは?
初めは咳喘息で熱は無かったが、咳が続く事でのどの粘膜が傷つきそこにウイルスや菌がつき、それにより炎症を起こし痰が出るようになる。→ 炎症を起こした為に熱が出る
- 湿った咳から乾いた咳に変わったときは?
炎症が治まって、痰が出なくなり、しかし喉は痛んでいるので咳が続く場合もありますが、
肺気腫や肺結核の可能性がある事もありますので、内科で診てもらうと良いです。
- 湿った咳から吐き気があるときは?
のどの奥が刺激されるとおえっとなります。これを咽頭反射と言います。咳がひどいと喉の奥が刺激され吐き気をもよおす事があります。
乾いた咳以外にいろんな症状が出ることがあります。また乾いた咳から湿った咳に変化するなど、病気の症状はさまざまですが、その変化にも理由があります。悩んだら病院にいくのが一番ですが、いろいろな症状を知っておくことで少し安心できるかもしれませんね。
市販の咳止めや漢方薬を使ってもいいの?
咳がひどいけれど、病院に行けない場合、市販の薬などを飲んで咳を止めたくなりますね。
しかし、咳は止めないほうが良いとも言うし、市販の薬は使っていいものか迷います。
そんな時のために市販の咳止めや漢方薬について、使い方や注意点などを覚えておきましょう。
乾いた咳を「市販の咳止め薬」で抑えていいの?
湿った咳、痰が出る咳痰を出す為に咳が出ています。薬でとめると痰が出せないのでとめないほうが良いです。
痰の原因となる病気を治療する薬は必要ですが、咳止めはやめたほうが良いです。
空咳痰を出す必要も無く体力を消耗するだけですので咳止めを効果的に使いましょう。
乾いた咳によく効く漢方薬は?
空咳や痰が出にくい(喉の感想の為) | 麦門冬湯 |
気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎による咳 | 小青竜湯 |
喉に違和感、咳、心因性の咳逆流性食道炎 | 半夏厚朴湯 |
などがありますが、漢方薬は証(体質、体力など)によって使う薬が変わりますので、漢方を扱っている病院や、薬局で相談して服用すると良いです。
まとめ
以上、乾いた咳が続くときの「原因」や「考えられる病気」について書かせていただきました。
私自身、長く咳が続いていたときには本当に不安で、いったいどうしたらよいのか悩みました。こうしていろいろ調べたことを参考にしていただいて、長引いている咳の理由が少しでも解決していたら、とても嬉しく思います。
熱がないのに乾いた咳が続く場合、体力を消耗し、体にも無駄に負担がかかります。私のように肋骨にひびが入ったりしないよう、悩んだ時には自己判断はせず、必ず病院を受診して早めに治してくださいね。
この記事が、悩んでいるあなたの参考になれば幸いです。