皆さんは定期的に健康診断を受けていますか?
筆者は毎年必ずとまではいきませんが、できるだけ受けるようにしています。
お陰様で今の所これといった異常もなく、検尿で時々「尿蛋白」が出るくらいです。
‥って、ずっと思ってきたのですが、この「尿蛋白」も異常なんですよね? 一応は‥‥
でも、女性は生理の前とか出やすいって聞いたし‥
おりものとか混入しちゃうと陽性になっちゃうみたいだし‥
(そういえば、妊娠中にも一度プラスに丸つけられてたことがありましたっけ‥)
と、そんなある日、同じく会社の健康診断を受けた筆者の夫の結果票を見てみると、そこにも例の(?)「尿蛋白」が……
「これ、前回も出てなかったっけ?再検査とかしなくて大丈夫なの?」と、聞いてみたものの、
「平気平気~~」と、全く気にしていない様子。
ですが、この所連日残業続きで、かなり疲れている様子の夫。
食生活も乱れているし、日頃から全く運動もしていないし、そういえば最近、尿が泡立つなんてことも言ってたけど、本当に大丈夫なのでしょうか?
……ということで、本記事では、検尿で蛋白が出たけど、大丈夫なの?また、プラスマイナスの理由は?ということについて、様々な視点から掘り下げていきたいと思います。
検尿で蛋白が出た!で、蛋白って何?
と、先ほどから「蛋白が出た!!」と言っていますが、蛋白って一体何なのでしょうか?
- 「蛋白」は文字通り「タンパク質」のことです。「尿蛋白」とは「尿に含まれるタンパク質」を意味します。
- 腎臓が血液をろ過し老廃物を尿として排泄する際、腎機能が何らかの理由で低下していると、ろ過がうまくいかず尿にタンパク質が混じってしまうことがあります。
つまり、尿蛋白が陽性となった場合は腎機能に異常が疑われるということです。
ですが、健康でも以下のような時には尿に蛋白が混じってしまうことがあります。
病的でない尿蛋白(生理的蛋白尿)
- 激しい運動
- 精神的なストレス
- 蛋白質の過剰摂取
- 入浴直後、発熱時、寒冷刺激後など
また、女性の場合は以下のような時にも出やすくなります。
- 妊娠中
- 月経前や生理中の血液
- 精液や膣分泌物の混入など
このような場合は特に気にする必要はありませんが、通常健康であれば尿に蛋白は含まれるものではないので、注意が必要です。
また、女性の場合は体の構造上出やすくなっているのですが、子どもや男性が出た場合は特に注意した方が良いでしょう。
さて引き続き次項では、いまいち分かりにくい尿検査のプラスマイナスの数値などについても調べていきたいと思います。
プラスマイナスの数値はこう読もう!
健康診断の結果票や、妊娠中の尿検査の結果欄などに書いてある、『+プラス、-マイナス』。
いつも見ているこの表記ですが、いまいち意味の分かっていない方もいるのではないでしょうか?(筆者もです!)
また、上記のように『+-』とされることもあるようなのですが、一体どのような意味なのでしょうか。
尿たんぱくの検査項目の結果であるプラスマイナスは「尿定性」といい、一般的な健康診断はこの「尿定性」で判断されます。
値の見方は下記のように、プラスの濃度は、プラスマイナス、プラス1、プラス2、プラス3の四段階に分かれています。
- | 陰性 | 問題なし | |
± | 15mg/dl | 陽性 | 体質や一時的に疲れが出たための一過性のものと考えられます。 |
1+ | 30mg/dl | 陽性 | 過度の疲労や睡眠不足など、病的原因以外も考えられますが、念のため再検査した方が良いでしょう。 |
2+ | 100mg/dl | 陽性 | 再検査を受けましょう。 |
3+ | 300mg/dl | 陽性 | 腎機能の低下が考えられます。血液検査のクレアニチンの数値も調べてみましょう。 |
4+ | 1000 mg/dl | 要精密検査になります。腎臓疾患が疑われますので、病院で受診しましょう。 |
尿蛋白がプラスに出る場合、原因は前項でも記したような「病的ではないもの(生理的蛋白尿)」と「病的なもの(病的尿蛋白)」とに分かれます。
プラス1以上であれば、念のために病的な原因が疑われますが、「プラスマイナス」の場合は病気ではなく、生理的な一過性の尿蛋白である可能性が高いです。
また、プラスである場合は、尿に蛋白が多く出てしまい低蛋白血症を起こし、その結果むくみ(浮腫)が起こる疾患である、「ネフローゼ症候群」の可能性も考えられるので、速やかに腎臓内科のある病院で検査した方が良いでしょう。
さて、数値の後は冒頭でも記した、気になる夫の「尿の泡」のことについて、尿蛋白との関連等を調べてみたいと思います。
尿が泡立つのは、やっぱり病気?
朝トイレで尿を出した時、いつもより尿が泡立っていて、その泡がなかなか消えない!何てことはありませんか?
その場合、蛋白が出ている可能性もあるので注意が必要です。
健康でも泡立つことがあります。
- 正常な尿であっても、尿に含まれる界面活性作用を持つ「ウロビリノーゲン」という物質により、泡を作る効果があります。
- 尿の勢いが強い場合、トイレを満たしている水に注がれる際に空気が大量に含まれるために泡立つということもあります。
泡がなかなか消えない場合は注意!
- キメの細かいクリーミーな泡がなかなか消えない場合は、腎臓に問題があり、慢性腎炎などの可能性があります。
- 尿蛋白の原因が病的な場合は、腎臓そのものに原因があるものと、腎臓以外に原因があるものに分かれます。
- 腎臓がうまく機能しなくなる原因としては炎症、結石、腫瘍などがありますが、糖尿病が原因で高血糖状態が続き、腎臓の機能が損なわれてしまう場合もあります。
- 腎臓以外に原因がある場合は、感染症、膀胱や尿路の病気、心臓や血圧などの循環器系の病気、ホルモン系の病気、悪性腫瘍などが考えられます。
このように、ビールのような泡(細かくてクリーミィでなかなか消えない泡)が立った場合は要注意!早めに検査をお勧めします。
健康診断などで尿蛋白が出た場合も、出来るだけ再検査を行うようにしましょう。
特に体調が悪くないと思っても、上記のような病気も十分に考えられるので、油断してはいけません。
続きまして次項では、「子どもの蛋白尿」についてです。
子どもが尿検査で尿蛋白が出て引っかかってしまったら……もし腎臓の重い病気だったりしたらどうしよう‥‥と心配になってしまいますよね。
その辺の所を、詳しく調べていきたいと思います。
子供にもよくある蛋白尿だけど…
小どもに尿蛋白が出てしまったら、親としてはとても心配になりますよね……
ですが、「起立性尿蛋白(体位性蛋白尿)」という無害の尿蛋白現象であることも少なくないようです。
起立性尿蛋白とは
- 起立していることにより、腎静脈が圧迫されて起こるものです。
- 若い人、特に学童や思春期までの子どもに多いとされており、成長とともに蛋白は出なくなります。
- 痩せ型の体型のお子さんに多くみられます。
- 朝起きた時の尿(早朝尿)では蛋白は出ないにも関わらず、活動を始めてからは蛋白尿が陽性となります。
- そのため、外来で検査する時には早朝尿と来院時の尿の両方検査することがあります。
この他にも、大人と同じように激しい運動や発熱後などにも出ることがあるようですが、尿蛋白が検出されても問題無いと自己判断をしてしまうのは危険です。
小どもに尿蛋白が検出されたら、きちんと再検査を受けるようにしましょうね!
自宅で検査ができるキットがある!
こうして調べてみると、尿蛋白の原因として考えられることって色々あるのですね!
怖い病気もあるし、最近疲れやすいし、尿が泡立つ時もあるし、検査してみようかな‥‥と思っても、なかなか病院に行ったりできない方も少なくないのではないでしょうか。
そんな方に便利なのが「尿蛋白検査紙」というものです。
尿糖、尿蛋白検査紙 ウリエースBT 50枚【第2類医薬品】 |
- リトマス試験紙のようなもので、尿に浸すと紙の色が変わります。
- 黄色は健康、緑色に変わったら蛋白が出ているということがわかります。
- 30枚入っているので、約1ヶ月は検査でき、自宅のトイレに置いておくと便利です。
- ですが、湿気に弱く長期保存には向いていないので、数年放置するような事があれば新しいものを買うのがオススメです。
ただし、これはあくまでも簡易検査キットなので、きちんと日記のように記録はつけておき、病院で症状や体調のことなどスムーズに言えるようにしておくと良いでしょう。
忙しい方はなかなか検査などにも行けず大変かと思いますが、そんな方こそ健康管理は大切です。
このように、自分の体をこまめにチェックすることが習慣付けられたら良いですね!
健康ぷらざ:尿検査(2015.5.17)
まとめ
ここまで書かせて頂いた「尿蛋白のあれこれ」はいかがだったでしょうか?
では、最後にこれまでのまとめを書かせて頂きたいと思います。
- 「尿蛋白」とは「尿に含まれるタンパク質」で、腎機能が何らかの理由で低下している場合、尿に混じってしまうことがあります。
- 尿蛋白には、腎機能に異常が疑われるなどの病的な場合と、病的でない場合(生理的蛋白尿)があります。
- 女性は、妊娠中や月経前や生理中の血液など、体の構造上、尿蛋白が出やすくなっています。
- 尿たんぱくの診断結果は、「尿定性」というプラスマイナスで判断され、-が異常なし、プラスの濃度は、+-、+1、+2、プラス3の四段階に分かれています。
- 正常な尿であっても、尿に含まれる界面活性作用を持つ「ウロビリノーゲン」という物質により、泡を作る効果があります。
- 尿の泡がキメが細かくクリーミーでなかなか消えない場合は、腎臓に問題があり、慢性腎炎などの可能性があるので、注意が必要です。
- 思春期までの子どもの蛋白尿の原因には「起立性蛋白尿」によるものも多いとされています。
- 自宅で尿蛋白を検査することができる「尿蛋白検査紙」というものもあるので、なかなか検査に行けない方は利用してみるのも良いでしょう。
以上です。
ちなみに、筆者の夫ですが、その後未だに再検査に行っておらず……
(まぁ彼に限らず、そういう人も多いのではないでしょうかね‥)
上記の「尿蛋白検査紙」の購入をちょっと検討してはいるのですが、、面倒くさがりの夫が毎日記録を付けるとは思えないですし‥
私が代わりに記録誌を‥‥??(ーー;)と、未だ少々躊躇してしまっております……
どっちにしろ、尿の定性検査はあまり信頼度の高い検査ではないので、健診や検査で尿定性が出ているときは、精密検査でどれくらいのタンパク尿がでているか、病院を受診してから医師に判断してもらうようにしましょう。
また検査前には睡眠不足にならないよう心がけ、食事も塩分は控えていく方が良いでしょう。
激しい運動は避け、できるだけ検査の前には体を休めるようにして、くれぐれも落ち着いて受診するよう心掛けましょうね。