子供が保育園や小学校に入ると、必ず”保育料や学用品などの負担を軽くしますよ”という書類を渡されます。
その説明欄に必ず記載されているのが、
『市民税・住民税が非課税になっている世帯は申請ができます』
ということです。
”市民税・住民税が非課税の世帯ってどういう世帯?”と一瞬頭の中にハテナが浮かびますよね。
私は結婚前に税理士事務所で働いていましたので、税金やお金のお話しは得意な方です。
実は、”収入が割と高くても家族の状況などによって、市民税・住民税が非課税になる”なんてこともあるんです!
市民税・住民税が非課税だと、保育料などだけではなく、色々なお金の補助も受けることができます。いいな~と思ってしまいますよね。
市民税・住民税が非課税になる世帯について、こんな内容を中心にお知らせしたいと思います。
- 市民税・住民税が非課税になる基準の所得はいくら?
- 市民税・住民税が非課税だと、どんなお金の補助が受けられるの?
- ”世帯分離をしたら市民税・住民税が非課税になる”という話を聞いたことがあるけど、どういう意味?本当に非課税になるの?
我が家の長男が4月に小学校入学をしました。
「やったー!公立だから教育費がかからなくなったぞー!」
と思ったのもつかの間…。
次から次へと押しよせる、教材費の支払いに頭を悩ませている今日この頃です(涙)。教育費と税金関係の支払いって、家計にものすごく重い負担ですよね。。。
我が家も含めて、この記事をご覧下さっている皆様のご家庭が、市民税・住民税が非課税になる可能性があるのかどうかも計算もできるように、詳しくお話ししていきます!
非課税世帯は所得××円以下の世帯
住民税の非課税世帯になる基準年収と条件は、個人の状況によって違います。一つずつ見てみましょう!
*計算式は、H28.2.19に総務省が発表した『市町村税関係資料』に基づいています。
住民税の「均等割」・「所得割」どちらも非課税になる方
「均等割」・「所得割」とは?
住民税は、2つに分けて計算します。「均等割」と「所得割」です。
- 「均等割」は、全ての世帯が同額の負担をすることになっています。
- 「所得割」は、世帯の所得額によって負担額が変わります。
住民税の「均等割」・「所得割」どちらも非課税世帯となる条件は
- 生活保護を受けている世帯。
- 障害者・未成年者・寡婦(かふ)・寡夫(かふ)の方で、前年合計所得が125万円以下の場合。
*「寡婦・寡夫」をわかりやすくお話しすると、配偶者を亡くして子供を養育している女性・男性です。当てはまる条件が他にもいくつかありますので、不安な方は市役所などに問い合わせをなさることをおすすめします。
*所得125万円には退職金は含まれないことがポイントです。
住民税の「所得割」が非課税世帯となる場合(基準年収も計算してみました)
基準年収は、個人の状況によって変わります。実は”確実に自分に当てはまる”という計算式はありません。
まずは計算式をお知らせして、基準年収の大体の額を逆算してみます。参考になさってみて下さい。
計算式
(35万円)×(本人と控除の対象となる家族を合わせた人数)+(32万円)
この計算をして出された金額以下の所得の方は、住民税の「所得割」が非課税となります。
我が家の基準年収の目安はいくらになるのか計算してみます!我が家は夫・私(専業主婦)・小学生以下の子供3人という家族構成です。
*住民税の計算では、収入の無い配偶者は控除の対象となります。小学生以下の子供は控除の対象となりません。
我が家では、所得金額が102万円以下であれば、夫の住民税の「所得割」が非課税になる(我が家が非課税世帯になる)ことがわかりました。では、所得額が102万円の時、収入はいくらなのでしょうか?
*この計算は目安です。他の控除があれば、住民税の「所得割」が非課税となる基準年収はもっと高くなります。
※所得割の計算方法はこちらで詳しく解説しています↓
市町村民税 所得割額とは?計算方法は?わかりやすく解説!
住民税の「均等割」が非課税となる方
住民税の「所得割」が非課税となった時、
「自動的に「均等割」も非課税!」
とはなりません。なればいいのに…。
「均等割」が非課税になるかどうかの計算は、こちらの計算式です。
(①28万円~35万円)×(本人と控除の対象となる家族を合わせた人数)+(②16.8万円~21.0万円)
*①と②の金額は、生活保護の金額に関係しています。自治体によって基準が違いますので、不安な方は市役所などにお問い合わせ下さい。
前年の合計所得金額が、この計算式で出た答え以下であれば、「均等割」が非課税になります。
ここまでお話ししたことを参考にしていただくと、ご自分で住民税が非課税になるかどうかの計算をすることができます。ただ、複雑ですよね。
個人の状況によって計算額が大きく変わる可能性があることが否定できません。厳密な数字を知りたいという場合は、市役所などに問い合わせをするのが一番確実なのかもしれません。
「住民税が非課税の対象になるかどうか問い合わせたい。」
とお伝えいただくと、担当の課につないでくれます。
次に、住民税が非課税の場合には様々な補助が受けられる可能性があることをお知らせしたいと思います。もしかしてご自分の大切なお金を守ることにつながるかもしれません!
住民税が非課税だと受けられる補助
住民税は、
「お住いの地域にかかる費用の負担を、できるだけ多くの人で分け合いましょう。」
という税金ですが、住民税が非課税となる方については、その方の経済状態を考えて様々な補助を受けることができます。
- 国民健康保険料や介護保険料が減額される
- 高額医療費制度の個人負担額上限が低くなる
- 介護保険サービスの自己負担額が減額される
- 無料で健康診断が受診できる
- 保育園や幼稚園の保育料が減額される
補助については自治体によって様々です。自治体に向けて何かの支払いが発生した時は、
「もしかして補助があるかもしれない。」
と、ぜひ一度調べてみることをおすすめします!
私は税理士事務所で働いていたことがあります。経営が苦しい企業の経営者の方で、
「税金の負担を少しでも減らすために世帯分離をしたい」
と希望する方が結構いらっしゃいました。
そんな時、安易に世帯分離をすることは絶対におすすめしませんでした。ご家庭全体の負担が重くなる可能性もあるからです。”ご注意いただきたい”という思いがあります!
簡単にご紹介しますので、頭の片隅に入れていただければと思います。
世帯分離をしたら非課税世帯になるって本当?
結論からお知らせしますと、世帯分離によって住民税が非課税になる場合とならない場合の両方があります。
また、メリットばかりではなくデメリットが出てくる可能性もあります。
世帯分離とは?
- 世帯分離とは、「同じ家に住んでいても、お金の出所が違います。」
ということです。 - 逆に世帯分離をしていなければ、「同じ世帯の人は、お金の出所が同じ」とみなされます。
市役所などで書類を提出すれば簡単に世帯分離の手続きをすることができますし、世帯分離をした後に同じ世帯に戻すことも可能です。
同じ場所に住んでいなくても、お金の出所が同じなら同じ世帯の人ということになります。
例えば、県外で一人暮らしをする大学生の息子の生活費を親が出しているなら、息子と親は同じ世帯の人となります。
世帯分離をすることによる住民税の額への影響は?
メリットの一例
(夫婦の収入)+(ご両親の年金の額)=世帯年収
ご両親の介護サービス料金は世帯収入に応じて決まります。世帯分離をしたことにより、介護サービス料金の計算はご両親の年金収入のみを元に計算されますので、負担が軽減されることがあります。この他にも、保育料なども世帯収入をもとに計算されます。
この場合の隠れたデメリット
例えば保険料控除です。保険料は、一年間にどれだけ高額の掛け金を支払ったとしても、控除できる額に上限があります。
これまでは家族で保険料の控除を分け合っていたとしても、世帯分離をしたことによって、ご両親が支払った保険料はご両親の収入からしか控除できなくなります。
ご家庭の状況によって細かく計算しないと、”世帯分離をすることで本当にメリットがあるのかどうか?”については判断ができなさそうですね。
まとめ
住民税の非課税世帯となる条件や基準年収についてお知らせしました。世の中にある優遇措置は、できることなら全部使いたいですよね!私は使いたいです!!!
税金関係では、知らないと損をすることが沢山あります。どんなものにも申請期限があって、気づいた時にはせっかく戻って来るはずだったお金がパァ~なんてこともあると思います。
家庭の事だけでも大変なのに、税金のことにまでアンテナを立てておかなきゃいけないなんて、大変すぎますよね。
しかも、申請をする際に度々要求される所得証明書。役所に書類をとりにいくのも一苦労なんですよね!どうにかならないのでしょうか?ぼやきは止まりません…。
※申請で必ず要求される所得証明書。
発行手順はこちらを参考になさって下さい!↓
所得証明書の発行に必要なものは?流れをわかりやすく解説!