バーベキューや焼き肉など、皆で楽しく騒いでいるうちに普段よりも多めに食べてしまうことってありますよね。
皆で協力して作るからこそ、味付けや火加減など細かいことに文句は言わず、少しぐらい失敗しても笑って美味しく食べてしまいます。
そうやって楽しく美味しく食べる食事は私も大好きなのですが、「今、肉が少し赤かったような気が…」と思いながらも、割と気軽に食べてしまっていることがあります。
特に表面が焼けていても中まで火が通りにくい鶏肉は、食べてみたら赤かったということが多いですよね。
その場では「いちいち焼き直したりするのも気が引けるし…」と勢いで食べてしまったものの、後になってからお腹を壊したりしないか心配になってしまうもの。
そこで今回は「鶏肉の赤い部分を食べたけど大丈夫なの?鶏肉の安全な調理方法とは?」というテーマで
- 生焼けの鶏肉を食べたらどうなる?食中毒の症状とは?
- 食べてしまった後にできる対処法とは?
- 「十分に加熱する」って、具体的にはどれくらい?
という内容をお届けします。どんな症状が出始めたら要注意なのかを知っておけば、万が一体調が悪くなってしまった場合にも冷静に対処できるかもしれません。
また不安なまま食べるんじゃ、料理も美味しくなくなってしまいます。食中毒にならないために気を付けるべきことを知っておけば、「これだけ予防をしていれば大丈夫」と自信を持って美味しく食べることができます。
それでは早速、「もしも食中毒になってしまったらどんな症状が出るのか?」ということから
チェックしていきましょう。
生焼けだった!鶏肉の赤い部分を食べたけど大丈夫なの?
鶏肉を生焼けで食べてしまった場合、食中毒になる可能性があります。その主な原因はカンピロバクターやサルモネラ菌、O-157、トキソプラズマなどで、
腹痛・下痢・発熱・血便を伴う腸炎症状
などの症状が出ます。特に子供の場合は抵抗力が弱いため高熱で苦しむことが多く、私自身も重症で入院という話を耳にしたことが何度かあります。子供だけでなく、抵抗力の弱い高齢者や妊婦も注意しましょう。
肉が原因となる食中毒の症状は食べてから7日以内に出ます。
ちなみに私自身が食中毒になった時は、5日後に発症したため食中毒だとは気づかず、最初のうちは風邪だと診断されていました。
発症から3日経っても高熱が続き、別の病院で診察してもらったところ「カンピロバクターが疑わしい」とのことで、抗生剤を処方されて快方へ向かいました。5日も経ってしまうと何を食べたかなんて忘れていて「心当たりがない」と言い張っていたくらいなので、よく見抜いてくれたなぁと医師には感謝しています。
逆に言えば、1週間経っても元気だったら大丈夫だということです。生焼けの肉を食べてしまった後は、心配ならば1週間は胃腸にやさしい食生活を心掛けておくのが良いでしょうね。
ただ実際はカンピロバクターの場合は2~3日で発症することが多く、私のように5日も潜伏している例は珍しいくらいなんだそうですよ。
生焼けの肉を食べないことが一番の予防ではありますが、肉にしっかり火が通っていても食中毒になってしまうことがあります。
- 生の鶏肉を触ったら必ず手を洗う
- 生の鶏肉を調理したまな板や包丁も洗剤でしっかりと洗う
という2点はしっかりと守るようにしてくださいね。特に火が通っているか確認のために包丁で切り、しっかり洗わないままその包丁で次の食材を切ると、そこから感染してしまう可能性もあります。
生肉を載せていた皿や触っていた手、調理に使った箸など、肉以外の感染ルートが結構あるんですよ。小さいお子さんの面倒をみながら調理をする時は特に、手洗いを忘れないよう注意しましょう。
カンピロバクターは食中毒だけでない!ギランバレー症候群を発症することもある!
最近はカンピロバクターによる食中毒例が全国的に増えています。東京都が調べたデータによると、生の国産鶏肉の61%、輸入された冷凍の鶏肉の45%からカンピロバクターが検出されているとのこと。
テレビでも度々カンピロバクターが取り上げられていますから、ご覧になったことのある方はどんな症状かというイメージはつきやすいでしょうね。
味見程度の量でも感染するので、一口食べておかしいなと感じたら、すぐに吐き出してしまいましょう。
さらに怖いのが、カンピロバクター菌に感染したことよってギランバレー症候群になってしまうことがあるということです。
ギランバレー症候群は免疫に関わる神経疾患で、手足がしびれたり動かなくなったりするこわ~い病気。
カンピロバクターの一部には末梢神経の表面と同じ構造のものが存在し、カンピロバクターという細菌と闘うためにできた抗体が、誤って末梢神経まで攻撃してしまうことによってギランバレー症候群を発症してしまうんです。
そんなこわ~い病気の可能性も秘めているカンピロバクターに感染してしまわないよう、生焼けや調理器具に扱いにはよく注意しておきましょう。
不安でしょうがない!鶏肉の赤い部分を食べてしまった場合の対処法とは?
食中毒による下痢や吐き気の症状は、体内の病原菌を外に排出しようとしているために起こるものです。
ですので、市販薬などで無理に下痢や嘔吐を止めようとしてはいけません。
体の中の物を全て出しきれば症状が収まっていくこともあるので、まずは出し切ってしまいましょう。私が食中毒になった時は5日も経っていたので下痢や嘔吐は軽かったんですが、他の経験者の方は出し切ってしまった後は徐々に収まっていったという人が多いです。
また下痢や嘔吐がひどいと辛いとは思いますが、脱水症状が出ないよう、少しずつでもいいので水分を摂るようにしてください。
そういった症状がまだ出ていないけれど、生肉を食べてしまったので不安だという時は、殺菌効果が期待できるお酢や緑茶を飲めば少しは体の助けになるかもしれません。
お酢は飲みすぎると胃腸を傷つけてしまって逆効果なので、お猪口に半分程度の量を水で薄めて飲むようにしましょう。
ただこれらの方法は気休めにすぎません。下痢や嘔吐といった症状が出ている場合は、速やかに病院へ行きましょう。
まだ症状が出ていないのなら、気に病まないのが一番!
肉の生焼けは食べた部分によって食中毒になる人とならない人がいたりしますし、生焼けだったら必ず感染するというわけでもありません。
ただし同じ食事を食べた人全員に食中毒の症状が出た場合は自分も感染している可能性が高いと考えるのが妥当なので、その場合は病院で受診した方が良いでしょう。
カンピロバクターだけじゃない!妊婦さんは要注意のトキソプラズマとは?
妊婦さんがトキソプラズマに感染すると、死産や流産をしてしまうことがあります。またお腹の赤ちゃんに精神遅滞、視力障害、脳性麻痺などの症状が残る可能性もあるので注意が必要です。
感染しても症状が出ない場合や、出生時には問題がなかったのに成長するにつれて症状が出始める場合もあります。
とはいえトキソプラズマは大人の方が感染しやすい傾向にありますので、まずは妊婦さん自身が感染しないよう予防しておくのが一番です。妊婦さんが感染した場合は薬によってトキソプラズマの働きを弱めることができますから、疑わしい場合はすぐに病院で診てもらいましょう。
お腹の赤ちゃんが感染したかどうかは調べられないということを考えても、しっかりと予防をしてくださいね。
ちなみにトキソプラズマへの抗体があるかどうかは自費で検査できます。
「十分に加熱する」って、どれくらい?鶏肉の安全な調理方法とは?
カンピロバクターは冷凍しても死なないということから、予防策として鶏肉は十分に加熱するよう呼びかけられています。
けれど、その「十分に加熱する」って、一体どれくらいが目安なの?とよくわからないですよね。加熱時間の目安を知っておくと、食中毒が怖いからと加熱時間を長くとりすぎて、焦げるまで焼いたり、パサパサになるまで茹でたり…いった失敗も減らせます。
基本的には中心部がピンク→白っぽい色に変わればOK!
なるべく分厚い(大きい)肉を一切れ切ってみて、中心部までしっかり白く変わっていればOKです。
ほんのりピンク色が残っているようだと、まだ菌は死滅しきっていないかもしれません。全部の色が変わるまでは加熱しましょう。
ちなみに冷凍食品のから揚げをレンジでチンしても赤い点が残っていることがありますが、これは食べても大丈夫ですよ。鶏肉には加熱しても赤いままの部分がある部分があり、血液や血管ではない部分なので生焼けというわけではないんです。
肉を切って加熱の状態を確かめたら、生焼け肉を切った包丁やまな板は洗剤できれいに洗うのを忘れないでくださいね!
包丁やまな板は洗った後に75℃以上の熱湯をかければ、殺菌は完璧です。また手洗いは石鹸をつかって30秒以上かけて丁寧に洗いましょう。
65℃まで加熱すれば、30秒以内にカンピロバクター菌は死滅します
調理中にいちいち65℃になったか確認するのは大変なので、65℃で30秒くらい加熱したい場合、どれくらいの加熱時間になるのかの目安をまとめてみました。
- 鶏の肉団子⇒沸騰したお湯の中で5分加熱
- 焼き鳥⇒中心部分の温度が65℃になるまでにガスでは7分、炭火では12分かかる
- ささみ1本⇒電子レンジ500Wで1分
- 鶏のから揚げ(冷蔵)⇒160℃~180℃で3分
- 鶏のから揚げ(冷凍)⇒160℃~180℃で4分
※冷凍の状態で調理する時は、低温からじっくり揚げるのがコツ
これらはあくまでも目安なので、食材の切り分け方や量、火加減などによって多少は左右されます。「〇分加熱したから十分!」と過信せず、一切れ切って中まで火が通っているか確認するのが一番確実ですよ。
レンジ加熱の場合、肉が重なって熱が入りにくくならないよう並べたり、大きさをなるべく均一にしておくことが十分に加熱するコツです。
鶏肉は切り分け方によって、分厚くなってしまった部分だけ中まで火が通りにくく加熱が不十分ということもあります。ソテーにする時などは繊維に沿って切れ目を入れて開き、なるべく同じくらいの厚みになるよう切ると良いですよ。
またバーベキューの際は火加減が難しく、表面は焦げているのに中心部は生焼けということが多いです。火加減も安定しないので一律で何分以上という目安ができません。
下ごしらえの時に火が均等に通りやすいよう繊維に沿って開いたり、網の端の方でアルミホイルを被せてじっくり加熱したりと、中心部まで火が通るような工夫をしておくと安心です。
まとめ
- 鶏肉を生焼けで食べると、食中毒になる可能性がある
- その主な原因はカンピロバクターやサルモネラ菌、O-157、トキソプラズマ
- 症状は腹痛・下痢・発熱・血便を伴う腸炎症状
- 症状は食べてから7日以内、平均して2~3日で出ることが多い
- 症状が出たら水分を補うよう気を付け、病院で診てもらうこと
- カンピロバクター菌による食中毒例が多いが、妊婦はトキソプラズマにも注意!
<生焼け肉を食べてしまって不安な時は…>
- 気に病まないのが一番!
- お酢を薄めて飲んだり、緑茶を飲んだりすると多少は効果があるかも?
<食中毒の予防策>
- 生の鶏肉を触ったら石鹸を使って30秒以上かけて手を洗う
- 生の鶏肉を調理したまな板や包丁も洗剤でしっかりと洗う
- 洗ったまな板や包丁には75℃以上の熱湯をかけておくと良い
<鶏肉調理のポイント!十分な加熱とは?>
- 中心部まで白く変色していれば加熱は十分
- ほんのりピンク色は菌が死滅したとは言い切れない
- 厚みや大きさがなるべく均等になるよう切り分けると良い
- 分厚い箇所は繊維に沿って切れ目を入れて開いておくと良い
- カンピロバクター菌が死滅する加熱時間の目安は65℃で30秒
「鶏肉や豚肉はしっかり火を通さないとダメ!」ってよく聞きますよね。
でも実は、ほんのりピンク色程度まで加熱してあれば、抵抗力が強い人なら食べても大丈夫だったりします。
家族や友人など、一緒に食事をした皆に症状が出ている時は感染を疑って病院を受診するべきですが、生焼け部分を一口食べてしまったくらいなら、意外と平気だったりするものです。
気に病み過ぎるとストレスでお腹を壊してしまうかもしれませんから、緑茶を飲んで気持ちを切り替えてみませんか?
ただ抵抗力の弱い子供や高齢者と一緒に食事をする時や体調が悪い時、妊娠中などは特に注意が必要です。
また生焼けと並んで気になる食材の疑問と言えば、消費期限ですよね。
鶏肉の生焼け問題は解決したけれど、ついでに消費期限についても知っておきたいなぁという方は、こちらの記事も併せてご覧くださいね。
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